居抜き店舗の落とし穴

コロナ禍の影響であるか、最近は居抜き店舗がとても多く流通しています、
開店までの初期費が安いという理由で選ぶのであれば、商売をして勝負する心意気に負けています。

居抜き店舗には「負の遺産」がある事をご承知おきください。
立地の問題、店舗の中の造作、スタッフの動線など、居抜き店舗には前の借主様が失敗した理由があります。
しかもメンテナンス費用、いつ故障するかわからない什器を引き取ることになります。

内見時に、多分成約できないなと感じる人の共通点は、
・ 不必要な什器の処分を依頼する
・ 必要とする什器のイメージを持っていない
・ 内装にかかる費用の概算を聞いてくる

殆どの賃貸借契約は、「退去時にはスケルトンにして返却する」ことになっています。
つまり居抜き物件の造作・什器は大家さんの所有物ではなく、前の借主様が大家さんに交渉をして、所有権を放棄していった物品で、「現状の状態で引き渡す」ことが原則です。
その造作・什器を選別するようであれば大家さんが賃貸借契約を承諾しません。
前の借主様の契約が終了していれば、前の借主様からの承諾を取り付けることはできません。
稀に前借主様が不用品処分やメンテナンスを申し出でも、それは「好意」です。
必要品が処分されたり、引渡後に発生するどのようなクレームにも応えることができません。

造作譲渡費用の有償・無償に関わらず、引き渡された後に不具合を発見することがあります。不具合がなくともいつ故障するかはわかりません。
新賃借人様がすべてのメンテナンス費用を負担するので、什器を見てメンテナンス費用を見積る力量が必要となります。

先日居抜きで引き継いだ店舗のグリストラップに上層階からの雑排水が逆流し、店内に溢水する事故がありました。
グリストラップの先の共用管との接続に施工不良があり、しかも高圧洗浄が不十分であったために共用排水管にグリスが溜まり、上層階からの排水がグリストラップに逆流した事故でした。
厨房内は防水加工をしていなかったために、階下の店舗には天井から排水が滴り落ちる事故になりました。
その店舗の設備の清掃も不十分ではありましたが、施工不良には気づきませんでした。
居抜き店舗の施工不良を見抜くことはほぼ不可能であり、大家さんは店内での事故は知らないことがあります。
造作は前借主様の所有物だったので大家さんに損害責任は追求できません。

内装費用は一般的な相場として、スケルトンから組み上げる場合坪50万円、水回り工事がある場合には坪70万円程度かかります。15坪以下の面積は少し高めに見積もったほうが良いでしょう。
最近ではこれでも足りないという話を聞きます。
居抜き店舗の場合水回りの工事は造作がある分厄介です。しかも防水区画が古い場合には解体費用が嵩みます。不要な什器は搬出費用、処分費用がかかります。
小生は建築のプロではありません。しかも、内装のコンセプトもわからない時にはこの一般的な相場を話すしかありません。
必要とする什器をリストして、内装建築の業者にスケルトンからの費用見積もりを持っていれば、居抜き物件の場合には引き算で概算を見積もることができます。、

居抜き店舗にはリスクが多いことを理解して、「安物買いの銭失い」にならないようにご注意ください。

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